発電用 堤高(m) 9.9 堤頂長(m) 95.7 堤体積 (千立方m) 11 総貯水容量(千立方m) 348
『ダムやないで堰堤やで』 「ダム」の定義(河川管理施設等構造令)の中には「堤の高さが15メートル以上」という要件が入っている。ここ『繁藤ダム』は、その意味ではダムではなくて堰堤である。素人の私は、そんな細かいことなんかどっちでもええやんと思っていた。ところがである。不案内な地区なのに付近にはまったく歩いている人がいないので、繁藤駅で列車を待ち伏せした(笑)。降りてこられた地元らしきおじさんに「繁藤ダムはどこらへんですか?」と聞いたそのときに「あれはダムやのうて堰堤やで」と窘められてしまった。さらに「その奥のん(=穴内川ダム)はダムやけどの」とも。おじさんは場所を丁寧に説明してくれたあとママチャリで颯爽と去って行った。唖然である。水と共に生きる繁藤では河川法に対する遵法意識が浸透しているということなのか。(笑)
四国に台風襲来の際には必ずといってよいほどニュースで雨量が報道されるここ繁藤地区。昔は『天坪(あまつぼ)』という地名であった。天から降ってくる雨が坪のように集まる場所・・・なんとも言いえて妙な地名である。それほどこのあたりの豪雨はすさまじく、堰堤脇を走る基幹国道32号線にも一定量以上の雨を観測すると自動的に通行止め表示が出る機械が設置されているほどである。また1972年の夏にはおりからの集中豪雨で繁藤駅に停車中の機関車が駅舎ごと土石流に飲みこまれてしまい、多数の犠牲者を出した。世に言う「繁藤災害」であり、線路沿いに流れる穴内川の対岸まで流された機関車はいまだに掘り出しが不可能である。
さて、この繁藤堰堤は、26番休場ダムで記したとおり、この地域の発電3ダムの中で極めて特徴的な役目を果たしている。まずは27番穴内川ダムを上池とした「揚水発電」の下池としての役割。消費電力の多い日中は上流の穴内川ダムから水を落として発電し、消費電力の少ない夜間に逆に余剰の電力で水を穴内川ダムまで汲み上げる。考え方を変えれば水の高さの位置エネルギーを利用した大掛かりな蓄電池である(すごいね)。第二に本来は穴内川→吉野川→三好市池田町→徳島市から紀伊水道へと北に流れ出る水の一部を、ちょうど分水嶺に位置するこの堰堤で南に位置する休場ダムに発電用水として落とすべく国分川→高知市→土佐湾・太平洋に分水している。まさに川の流れる方向を変えてしまうというポイントの役割である。
これほどの重要機能を果たしている堰堤なので、わたし的にはやはり「ダム」と呼んであげたいのだが、ルールはルール、やはり「堰堤」なのである。すこし不憫なダムいや堰堤である。
近くのスポット 『四国温泉88箇所33番 ニュー若宮温泉』 http://onsen88.info/index.cgi?Sshop=39
判子のありか 「ひとこと欄」参照
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「国道32号線脇にそびえるように建っているダム・・・ではなくて堰堤」
国道32号線脇にそびえるように建っているダム・・・ではなくて堰堤
「上流面に満々と水を貯めるダム・・・ではなくて堰堤」
上流面に満々と水を貯めるダム・・・ではなくて堰堤
「堤頂は車が通る橋梁の代わりにもなっているダム・・・ではなくて堰堤(そろそろくどいか 笑)」
堤頂は車が通る橋梁の代わりにもなっているダム・・・ではなくて堰堤(そろそろくどいか 笑)
「JR繁藤駅(もとの名前は天坪駅) ここは四国JRの258駅の中で最も標高の高い駅である。とともに最も年間雨量の多い駅である。何度もいうが次の駅は秘境駅で有名な新改駅、そしてその次が高知県を代表する主要駅土佐山田である。市街地の隣の秘境地域である。」
JR繁藤駅(もとの名前は天坪駅) ここは四国JRの258駅の中で最も標高の高い駅である。とともに最も年間雨量の多い駅である。何度もいうが次の駅は秘境駅で有名な新改駅、そしてその次が高知県を代表する主要駅土佐山田である。市街地の隣の秘境地域である。
「国道32号線を堰堤から100メートル南にある『たい焼き食堂』。繁藤堰堤専用の道の駅と化している。既に食堂とは名ばかりで、冬季はたい焼き、夏期はソフトクリームの単品メニューのみの名物店。」
国道32号線を堰堤から100メートル南にある『たい焼き食堂』。繁藤堰堤専用の道の駅と化している。既に食堂とは名ばかりで、冬季はたい焼き、夏期はソフトクリームの単品メニューのみの名物店。
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